冷え込む季節にランニングをする場合、ユニクロの機能性インナー「ヒートテック」を着用すべきか迷う方も多いでしょう。
ヒートテックは薄手で暖かいのが特徴ですが、汗を多くかくランニングでは注意が必要な点もあります。
本記事では、ヒートテック着用のメリット・デメリットや活用法、代替インナーについて詳しく解説します。
目次
ランニングにヒートテックを着用するメリットとデメリット
冬のランニングでは、ヒートテックの着用により冷たい空気から体を守る効果が期待できます。薄手の生地でありながら繊維間に空気層ができるため保温性が高く、寒さ対策には役立ちます。
一方で、ランニング中は汗を多くかくため、ヒートテックの汗を吸う性質と乾きにくさがデメリットとなる場合があります。次節以降で具体的なメリット・デメリットを確認していきましょう。
ランニングでヒートテックを着用するメリット
ヒートテックは薄くて体にフィットするため、重ね着してもかさばりません。肌から発散される汗の水分を吸収して発熱する吸湿発熱素材なので、少量の汗でも暖かさを感じられます。
また、軽量なのに暖かいので、寒い日や走り始めに身体を温めるのに適しています。加えて、肌触りがよく伸縮性もあるため、走る際の動きを妨げにくいのも利点です。さらに、低価格で入手しやすい点もメリットと言えます。
- 薄手で軽量なのに高い保温性がある
- 肌にフィットし、動きを妨げない
- 少量の汗でも発熱し暖かさを補助する
- 手ごろな価格で入手しやすい
ランニングでヒートテックを着用するデメリット
ヒートテックは保温性を高めるためにレーヨンなど吸湿性の高い素材を多く使用しています。そのため吸汗性は高いものの、乾きにくい性質があります。
ランで大量に汗をかくとヒートテックが湿ったまま肌に密着し、逆に体温を奪ってしまうことがあります。
衣服内が蒸れやすく不快感が出やすいのも難点です。汚れや臭いが付きやすいため、頻繁な洗濯が必要になる点もデメリットでしょう。
- 汗を吸収しやすいが乾きにくい
- 大量の汗で濡れると冷えやすくなる
- 蒸れやすく長時間の着用で不快感が増す
- 汗や汚れが付きやすくお手入れに手間がかかる
ヒートテックの基本性能と仕組み

まず、ヒートテックがどのような素材なのか理解しましょう。ヒートテックはユニクロが東レと共同開発した保温インナーで、体から出る水蒸気を吸収して発熱する「吸湿発熱素材」です。
また、繊維同士の隙間に空気を多く含む構造のため、薄手でも優れた断熱性を持ちます。以下ではヒートテックの仕組みと特徴を詳しく見ていきます。
吸湿発熱素材としての仕組み
ヒートテック最大の特徴は、肌から発散される微量の水分を繊維が吸収し、その水分が凝縮して発生する熱で暖かさを生み出すことです。具体的には、繊維内に吸収された水蒸気が水に変わる際に熱が出る「凝縮熱」によって発熱し、さらに生地同士がこすれる摩擦熱も加わります。
この仕組みのおかげで、汗をかき始めると素早く発熱し薄手ながら高い保温効果を発揮します。
ヒートテックは伸縮性も高く、体にぴったりフィットする着圧感があります。締め付けるように着ることで肌と生地が密着し、繊維同士がこすれる摩擦熱でより暖かくなるという効果もあります。
保温性と速乾性の特徴
ヒートテックは繊維そのものが空気を含むため断熱性が高く、薄い生地でも優れた保温性があります。さらにアクリル繊維を混紡して空気の層をつくることで体熱を逃しにくくしています。一方で、汗をため込みやすいレーヨン主体の生地なので、速乾性は高くありません。
運動で汗をかくとヒートテックは濡れたままになりやすく、乾きにくいのが弱点です。湿ったヒートテックを長時間着用すると体温が下がるリスクがある点には注意が必要です。
- 生地が空気の層を作り、薄手でも高い保温性を発揮
- 吸湿発熱性で汗を利用して暖かくなる
- 吸湿性は高いが速乾性は低い
新型ヒートテックの進化
近年、ヒートテックシリーズはさらに機能とデザインが進化しています。2023年~2024年秋冬には、「極暖ヒートテック」にカシミヤ混紡モデルが登場し、従来品より30%軽量化しつつ肌触りが良くなりました。
また、史上最も薄い「ウルトラライトヒートテック」なども継続販売されています。これら新シリーズは軽量化されて着心地がアップしていますが、基本的な仕組みは従来と同じ吸湿発熱素材です。そのため、汗を吸収すると乾きにくい点は変わっていません。
冬のランニングにおける服装選びとヒートテックの活用

寒い日のランニングでは重ね着によるレイヤリングが快適さに直結します。
気温や運動強度に応じてベースレイヤー(肌着)、ミドルレイヤー(保温層)、アウターレイヤー(防風・防水)を使い分けることが重要です。
ここでは、重ね着のポイントとヒートテックを組み込んだウェア選びの例をご紹介します。
寒い日のレイヤリング方法
寒い日にランニングをする場合、以下のように3層のレイヤーを意識すると効果的です。まず、肌着やインナーは吸汗速乾性の高いポリエステル系素材を選び、汗を素早く外に逃がします。次にミドルレイヤーとしてヒートテックなどの保温インナーを重ねます。
最後にウィンドブレーカーやジャケットなど防風・防水性のあるアウターを羽織って外気を遮断します。ヒートテックはミドルレイヤーに適していますが、ベースレイヤーに使用すると湿ったときに乾きにくくなりやすい点には注意が必要です。
- ベースレイヤー(内側): 吸湿速乾性のあるウェア
- ミドルレイヤー(中間層): ヒートテックなどの保温インナー
- アウターレイヤー(外側): 防風・防水性のあるジャケット
ヒートテック活用の具体例
例えば気温が0℃前後の場合、ベースに吸汗速乾ウェアを着て、ミドルレイヤーにヒートテックを使い、軽量なウィンドブレーカーを上に羽織れば十分な防寒効果が得られます。走行中に汗ばむ場合は、前面が開閉可能なジャケットを選ぶと空気を取り込めて体温調節がしやすいです。
なお、極寒時にはヒートテックの代わりにメリノウールや速乾性素材のシャツをベースにするのも一案です。さらに、ヒートテックを着る場合でもネックウォーマーや手袋などの防寒小物を併用することで、全身の冷え対策になります。
気温や運動量に応じた服装の選び方
気温や走行ペースに合わせてウェアを選びましょう。例えば、0~5℃程度で軽いランニングなら、ヒートテックに薄手のウィンドブレーカーと手袋で十分です。-5℃以下の極寒時には、ヒートテック+厚手のミドルレイヤー+防風ジャケットを組み合わせます。
また、心拍数が上がりやすい高強度ランニングでは、ベースレイヤーは吸汗速乾性の高いものを優先し、ヒートテックはウォームアップ時など補助的に着用すると良いでしょう。次の表は、気温や運動量別のウェア例です。
- 0~5℃: ヒートテック+薄手ジャケット+手袋
- -5℃以下: ヒートテック+厚手保温層+防風アウター
- 高強度ラン: 吸汗速乾素材のインナーを重視、ヒートテックは初期暖め用に
ヒートテック着用時の注意点と対策
ヒートテックをランニングで使う際は、汗冷えや蒸れ対策が大切です。
汗を多くかいてヒートテックが濡れると体温を奪う原因になるため、状況に応じて脱ぎ着やウェアチェンジを検討しましょう。
以下では、ヒートテック利用時に注意すべきポイントとその対策を解説します。
汗冷え対策と体温管理
汗冷えを防ぐには、こまめなレイヤー調整が欠かせません。運動中にヒートテックが濡れてしまったら、ペースを落として体温の上昇を抑えるか、一度着替えて乾いたインナーに換えるのがよいでしょう。
初級者ランナーであればこちらの方法が効果的ですが、マラソンなど長時間ランニングでは、吸汗速乾性の高いシャツをベースにするのがおすすめです。ランニング前には準備運動で身体を温め、終了後は速やかに衣類を着替えることで、汗冷えリスクを減らせます。
汗で濡れたヒートテックは体温を急速に奪う恐れがあります。ランニング後は速やかに着替えて衣類を乾かすようにしましょう。
運動時のレイヤー調整術
走行中は体温が上がるため、上半身のレイヤーは脱ぎ着しやすいものを選ぶと便利です。前面にファスナーがあるジャケットなら、走っている途中で前を開ければ通気性が向上します。
逆に冷えてきたらジッパーを閉めるなど、こまめに調整しましょう。ヒートテックを脱ぎたいときは、冷たい外気に直接さらされないように、風の当たりにくい場所で脱ぐことがポイントです。
帰宅後のケア方法
帰宅後はすぐにヒートテックを脱いで汗を洗い流しましょう。濡れたまま放置すると体温が下がり風邪をひく原因になります。また、速乾性のウェアに切り替える場合でも、着替えた衣類は洗濯して乾燥させておきます。
ランニング後は肌もデリケートになるので、洗顔や保湿を併せて行い、汗による肌トラブルも予防しましょう。これらのケアで健康管理とウェアの長持ちを両立できます。
ヒートテック以外のおすすめ冬用ランニングインナー

ヒートテックが合わない場合は、ほかの保温インナーを検討しましょう。天然・機能素材の衣類は、速乾性を確保しつつ暖かさを保てるものが多くあります。ここでは、メリノウールやポリエステル系素材、ユニクロの他アイテム、さらには他社製の冬用ランニングウェアなどを紹介します。
メリノウールや機能性ポリエステル素材
メリノウールは天然の保温素材で、濡れても体温が逃げにくいのが特長です。温かい空気を含みやすく、通気性もあるため発汗量の多いランナーでも蒸れにくく快適です。敏感肌の人にも優しい肌触りなのもメリットです。
ポリエステル製の高機能素材も選択肢です。
吸汗速乾性に優れた「ドライ系」素材のシャツは、汗を素早く外に逃がすため、ヒートテックよりずっとドライな着心地で運動できます。
- メリノウール: 高い保温性で濡れても暖かい
- ポリエステル系機能素材: 吸汗・速乾でドライな状態を維持
ユニクロの他アイテムや他ブランド製品
ユニクロでは「エアリズムヒートテック」や「パフォーマンスサポート」シリーズなど、スポーツ向けに改良された商品もあります。
エアリズムヒートテックは速乾性を持たせた改良版で、ランニングにも使いやすい設計です。他ブランドではアンダーアーマーの「コールドギア」シリーズやナイキの「プロコンバット」シリーズなどが定番です。
これらは運動量の多い状況でも通気性や速乾性に優れており、ヒートテックより快適に走ることができます。
- ユニクロ エアリズムヒートテック: 保温性と速乾性を両立
- アンダーアーマー コールドギア: 冬スポーツ向けの高機能インナー
- ナイキ プロコンバット: 通気性・伸縮性に優れたスポーツウェア
上着や小物での防寒対策
冬場のランニングはインナーだけでなく、上着や防寒小物も活用すると効果的です。ウィンドブレーカーやジャケットで風を防ぎ、ネックウォーマーやランニング用手袋、耳あてなどで露出部分をしっかりガードしましょう。
首元や手先は冷えやすいので、これらを組み合わせることで保温効果が大きく高まります。
まとめ
ユニクロのヒートテックは薄手ながら高い保温性が魅力の冬用インナーですが、ランニング時には汗冷えリスクがあることを考慮する必要があります。ウォーミングアップやウォーキングなど軽い運動には便利ですが、激しく汗をかく運動では吸汗速乾素材を主体にウェアを選ぶのがおすすめです。
ヒートテックを使う際はレイヤリングと着脱で体温管理し、発汗時の対処を忘れずに行ってください。今回紹介した服装・アイテムも参考にして、安全で快適なランニングを楽しんでください。