筋力トレーニングは健康促進に効果的ですが、一方で「筋トレをやめたほうがいい」という意見が散見されることもあります。2025年現在の最新情報をもとに、どのようなケースで筋トレを中断・停止すべきかを詳しく解説します。
筋トレのメリット・デメリット、休養の取り方、筋トレを安全に継続するポイントなどを紹介し、読者の疑問に答えます。
目次
筋トレをやめたほうがいいケース・理由
筋トレを続けることは基本的に健康増進に効果的ですが、次のような場合には一時的にトレーニングを中断することが必要です。体に痛みや不調があるときは無理をせず、休息を優先しましょう。
以下に筋トレをやめたほうがいい典型的なケースを紹介します。
怪我や痛みがある場合
関節や筋肉の怪我・痛みに苦しんでいるとき、無理に筋トレを続けると状態を悪化させる恐れがあります。たとえば重いウェイトを使うトレーニングを続けると炎症や損傷部位が拡がる可能性があります。
このような場合は無理に運動せず安静を優先し、医師のアドバイスを仰いで治療・リハビリに当たるほうが安全です。
怪我の治療中は筋肉量が減少する可能性がありますが、長期的な健康とパフォーマンスのためには治療を優先すべきです。
回復状況を見ながら、軽いストレッチやリハビリから徐々にトレーニングを再開しましょう。
病気や体調不良の場合
風邪などの軽い体調不良でも無理に筋トレを続けると回復が遅れます。免疫力が低下して症状が悪化しやすくなるため、高熱やウイルス感染症の場合は運動を避けましょう。
また、心疾患・高血圧・糖尿病など持病がある場合は、病状が安定してから医師と相談しつつ軽めの運動にとどめることが大切です。
病気や不調時は休養と十分な栄養・水分補給を優先し、体調が戻ってから徐々にトレーニングを再開してください。
慢性的な疲労・オーバートレーニングの場合
継続的に高強度のトレーニングを行うと疲労が蓄積し、筋肉痛が長引いたり身体が常にだるい状態になります。慢性的な疲労やトレーニング効果の停滞を感じたらオーバートレーニングの可能性があります。
この状態でさらに追い込むとパフォーマンスが低下し、免疫力も落ちてしまいます。
疲労が溜まったときは1~2週間程度の休養を取り身体をリフレッシュさせましょう。
疲れが抜ければ筋力も回復し、以前より重い負荷が扱えるようになることもあります。
妊娠中・産後の女性の場合
妊娠中はホルモンバランスの変化や体重増加で関節や腰への負担が大きくなります。
この時期に無理な負荷をかけると転倒や腹部への衝撃で母体・胎児に危険が及ぶ場合があります。軽い有酸素運動程度であれば継続できても、痛みや不快感があればすぐにトレーニングを中止しましょう。
産後も、特にすぐは骨盤底筋群や腹筋が弱っているため、医師と相談しながら最初は低負荷のトレーニングから始めることが大切です。
成長期の子供・高齢者の場合
子供(成長期)は骨や関節がまだ発達段階にあるため、過度な筋トレは成長軟骨を傷つける恐れがあります。子供が筋トレを行う場合は、軽い負荷で正しいフォームを学ぶ程度にとどめましょう。
一方、高齢者は骨密度低下や腰・ひざの痛みなど持病がある場合が多いです。筋トレは骨や筋肉の維持に有効ですが、痛みがある場合は無理せず軽い運動や専用マシンでサポートしながら行いましょう。
筋トレを休むメリットとデメリット

筋トレは継続が大切ですが、適切に休むことにもメリットがあります。ただし長期間完全にやめてしまうと筋力低下などのデメリットも生じるため、バランスが重要です。
ここでは休養することで得られるメリットと生じるデメリットを比較し、効率的なトレーニング方法を紹介します。
筋トレを休むメリット
- 疲労回復の促進
- パフォーマンス向上のきっかけになる
- オーバートレーニングの防止
適度な休養をとることで筋肉や神経の疲労が抜け、次回トレーニングに万全の状態で臨めます。特に長期間続けてきた人は1週間ほどの休養で筋肉痛が解消し、新たな負荷にも応えられるようになります。骨や腱への負荷も軽減されるため、ケガの予防にもつながります。
また疲労が抜ければ精神的にもリフレッシュでき、気分新たにトレーニングに集中できます。
筋トレを休むデメリット
- 筋力・筋量の一時的な低下
- 基礎代謝の低下
- 習慣の途切れによるモチベーション低下
長期間全く運動をしないでいると使わない筋肉は徐々に衰えていきます。1週間程度の短期間であれば大きな筋力低下は起こりにくいですが、それ以上休むと明らかな減少が見られます。
筋肉量が減ると基礎代謝が下がり、同じ食事量でも体重が増えやすくなります。
また一度運動習慣が途切れると再開のハードルが上がり、モチベーションの維持が難しくなる場合があります。
トレーニングをやめると体型が変わる可能性もあるため、休む期間は計画的に短くしましょう。
筋トレをやめると体に起こる変化

筋トレを停止すると体にはさまざまな影響が現れます。ここでは筋力や代謝、体型、精神面で起こる主な変化を解説します。
いずれも「続ける場合」とは逆の変化であることを理解し、必要に応じて対策を講じましょう。
筋力や基礎代謝の変化
使わなくなった筋肉は徐々に萎縮し、筋力が低下します。数週間で筋繊維の太さが細くなる現象が起こり、基礎代謝量も下がります。その結果、同じ食事でも消費カロリーが減り、太りやすくなります。
ただし、一度落ちた筋力はトレーニング再開で比較的速く取り戻せます。1~2週間程度の中断では大きな変化は起こりにくいため、休止中は高タンパクな食事や軽い運動で筋肉を維持しましょう。
体型や体重への影響
筋肉量が減少すると体型がやや丸みを帯びて見えるようになります。これは「筋肉が脂肪に変わる」のではなく、筋肉減少+脂肪増加が同時に起こるためです。運動量が減るとエネルギー消費が低下し、脂肪が蓄積しやすくなるわけです。
この影響を防ぐには、筋トレを中止する場合でも食事量を調整し、軽い有酸素運動などでカロリー消費を一定に保つことが重要です。
精神・メンタルの変化
筋トレによって得られる達成感やエンドルフィンの高揚感がなくなるため、ストレス解消効果が減少します。その結果、イライラしやすくなったり気分が落ち込みやすくなる可能性があります。
また、習慣的に運動していた時間がなくなることで生活リズムが乱れたり退屈を感じることもあります。
精神的に不安になったときは無理に他の運動に置き換えるより、まずはのんびり体を休め、ストレッチなど軽い運動で気分転換しましょう。
筋トレを続けるメリット(やめない理由)
筋トレを継続すると長期的に多くのメリットがあります。ここでは特に重要な健康効果について説明します。やめたほうがいい場合があるとはいえ、適切に続けることで大きな恩恵が得られます。
2025年の研究でも、週30~60分ほどの筋トレを続けるだけで死亡率や疾病リスクが下がると報告されています。やりすぎるのは問題ですが、継続すれば筋肉量と代謝量が増えて高齢期まで元気に過ごせます。
寿命や疾病予防への効果
- 総死亡率や心血管疾患・糖尿病リスクの低下
- 週30~60分の筋トレで寿命延長が期待できる
- 骨密度維持により骨折リスクが下がる
例えば複数の研究から、筋トレ習慣がある人はない人に比べて心疾患などのリスクが10~17%低いことが示されています。特に週30~60分の適度なトレーニングで効果が高く、それ以上はメリットが飽和するという報告もあります。
また、筋トレは骨密度を高める効果もあるため、高齢者の骨粗鬆症や転倒リスクの予防にも有効です。
心身への健康効果
- ストレス軽減とメンタル向上
- 生活習慣病の予防・改善
- 姿勢改善や体力維持
筋トレは精神面でもメリットがあります。運動によるセロトニンやエンドルフィンの分泌でストレス耐性が上がり、認知機能や睡眠の質の改善にもつながります。また、姿勢・柔軟性が向上して疲れにくい身体になるため、日々の生活の質が高まります。
ボディメイクと代謝維持の重要性
- 基礎代謝量の維持・向上
- 引き締まった体型の維持
- 年齢による筋力低下の抑制
筋トレ続行で筋肉量が増えれば基礎代謝が高まり、太りにくい体質になります。引き締まった体型を維持することで年齢による筋力低下を遅らせることが可能です。結果として、高齢になっても自立生活が送りやすくなり、健康寿命を延ばすことにつながります。
まとめ

筋トレは基本的には体に良い習慣ですが、体調や状況によっては一時的に中断が必要です。ケガ・病気・疲労があるときは無理せず休み、早期に回復させることが大切です。妊娠中や成長期、高齢期には特に慎重に対応しましょう。
一方、適度な筋トレ習慣は長寿・疾病予防に貢献します。研究でも示されているように、週30~60分程度の筋トレを続けるだけで死亡リスクが下がります。筋力・体型・精神面を維持するためにも、自分の体に耳を傾けつつバランス良く継続しましょう。