気が付くとまつげを指でつまんで抜いてしまう、やめたいのにやめられない。
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。単なる悪い癖と片づけてしまう前に、その背景にあるストレスや心理状態、体の不調を理解することが大切です。
本記事では、まつげを抜く癖の主な原因やメカニズム、セルフケア方法、専門家への相談の目安までを分かりやすく解説します。まつげや目元の健康を守りながら、心と行動を整えていくための具体的なヒントをお伝えします。
目次
まつげ を 抜く 癖 原因を総合的に理解しよう
まつげを抜く癖は、単なる習慣ではなく、医学的には抜毛症やトリコチロマニアと呼ばれる状態として扱われることがあります。特に、まつげや眉毛、頭髪など体毛を繰り返し抜いてしまい、見た目に影響が出るほどになる場合は、心の不調と密接に関係していることが多いとされています。
また、日常的なストレスや睡眠不足、スマートフォンやPCの長時間使用など、現代的なライフスタイルが引き金となっている例も増えています。ここでは、心理的要因、生理的要因、生活習慣、それぞれの側面から原因を整理し、全体像を理解していきます。
まつげは目を守る大切な器官であり、むやみに抜き続けると、まつげが生えにくくなったり、ものもらいなどの炎症を起こしやすくなったりするリスクがあります。美容面の悩みだけでなく、健康面のリスクもあるため、原因を知り、できるだけ早い段階で対策を取ることが重要です。
以下の小見出しでは、なぜやめたくてもやめられないのか、その背景にある心理と体のメカニズムを詳しく見ていきます。
無意識にまつげを抜いてしまう行動の特徴
まつげを抜く癖がある方の多くは、最初は意識的にいじっていたとしても、次第に無意識のうちに手がまつげへと伸びるようになる傾向があります。テレビを見ている時、スマートフォンを操作している時、考え事をしている時など、手が空いている瞬間に自然と目元を触り、硬くなった毛や飛び出している毛を探し当てて抜いてしまう、という一連の流れがパターン化していることが多いです。
このような行動は、脳にとって小さな快感や安心感を与える「儀式」のような役割を持つことがあり、繰り返すことでますます強化されていきます。
また、まつげを抜く前後には、独特の感覚があると訴える方もいます。たとえば「抜く前はムズムズして落ち着かないが、抜くとスッキリする」「ザラザラした毛が気になって仕方がない」といった感覚です。これらは感覚の過敏さや、細かい違和感に対するこだわりと関連している場合もあり、単純な意志の弱さでは説明できません。このような特徴を理解することで、自分を責め過ぎずに、行動を変えていくための視点を持つことができます。
子どもから大人まで起こりうる抜毛症との関係
まつげを抜く癖は、小学校低学年頃から思春期、そして大人になってからまで、幅広い年代で見られます。特に、成長過程でストレスが増えやすい時期である小中学生や思春期の子どもに多いとされ、学校生活の変化、友人関係、受験勉強などが背景にあることも少なくありません。
抜毛症として診断されるケースでは、まつげだけでなく眉毛や頭髪など複数部位に及ぶこともあり、本人が隠そうとして帽子や前髪などでカバーしていることも多いです。
成人の場合でも、仕事のプレッシャー、人間関係、出産や育児による環境変化などがきっかけとなり、突如としてまつげを抜く癖が強まることがあります。年齢にかかわらず共通しているのは、抜く行為自体がストレスや不安に対する一種の対処行動になっている点です。
特に、抜いた後に強い後悔や自己嫌悪を感じる一方で、また繰り返してしまう場合は、抜毛症の可能性を視野に入れ、心療内科や精神科、皮膚科など専門家への相談を検討してもよい段階といえます。
まつげを抜くことが招くリスクと注意点
まつげは、ほこりや花粉、乾燥した空気から目を守る「バリア」としての役割を果たしており、繰り返し抜き続けることで、その防御機能が低下します。まつげがまばらになると、目の中に異物が入りやすくなり、結膜炎やものもらい、ドライアイなどのトラブルが増えるリスクがあります。
さらに、毛根に炎症が起きると、赤みやかゆみ、痛みを伴い、まつげが正常に生えにくくなることもあります。
美容面でも、まつげが抜けた部分が目立つことで、アイメイクがしにくくなったり、目元の印象が変わったりします。無理にまつげエクステやつけまつげで隠そうとすると、接着剤や摩擦によってさらに毛根を痛めてしまうこともあるため注意が必要です。
まつげの本数や生え方には個人差がありますが、明らかに隙間が増えたり、生えてくるペースが落ちていると感じたりした場合は、早めに抜く行為を減らす工夫を始めることが大切です。
心理的な原因:ストレスや不安がまつげを抜く癖につながる

まつげを抜く癖の背景には、心理的な要因が関わっていることが非常に多いとされています。仕事や学業、人間関係のストレス、不安感、退屈感、孤独感など、さまざまな感情が積み重なり、無意識のうちにまつげを抜くという行為に向かってしまうのです。
一見すると「ただの癖」に見えるかもしれませんが、多くの場合、その人なりのストレス対処として機能しており、行動の裏には意味があります。
最近の心理学や行動医学の知見では、抜毛症は不安症やうつ状態、強迫症などと併存することがあると報告されています。必ずしも全員がそうではありませんが、心の状態と行動が密接につながっていることは共通しています。
ここでは、どのような感情や状況がまつげを抜く行為を誘発しやすいのか、具体的なパターンやメカニズムを解説しながら、自分自身の状況と照らし合わせて考えられるよう整理していきます。
ストレス発散としてのまつげ抜き
日常生活で感じるストレスが高まると、人は無意識に「手持ちぶさたを埋める行動」や「一瞬でも気をそらす行動」をとりがちです。爪を噛む、貧乏ゆすりをする、髪の毛をいじるといった行動と同様に、まつげを抜く癖もストレス発散や気分転換のひとつとして働いていることがあります。
抜く瞬間の軽い痛みや刺激、抜けた毛を確認する行為が、一時的な満足感や安心感をもたらし、それがクセとして定着してしまうのです。
特に、ストレスを抱えていても、それを言葉にして人に相談することが苦手な方や、我慢強く一人で抱え込んでしまう方ほど、このような身体への小さな行動で気持ちを紛らせる傾向があります。抜いた直後はスッキリする一方で、その後に「またやってしまった」という罪悪感が加わると、さらにストレスが増え、悪循環につながります。
このパターンに心当たりがある場合は、ストレスの元を整理したり、別の健康的な発散方法を見つけたりすることが、まつげを守るうえでも重要になります。
不安や緊張を紛らわせるための反復行動
不安や緊張が高まる場面では、人は同じ行動を繰り返すことで自分を落ち着かせようとすることがあります。これを心理学では反復行動と呼ぶ場合があります。まつげを一本ずつ探し、つまみ、引き抜くという一連の動作は、集中を必要とする細かい作業であり、その間は不安なことを考えにくくなるため、一時的な「逃げ場」として機能します。
プレゼンの前、テスト勉強中、対人関係で緊張している時などに、まつげを無意識にいじってしまう方は、このパターンに当てはまる可能性があります。
また、不安傾向が強い人ほど、自分の体の小さな違和感や、左右差、長さの違いなどが気になりやすく、「そろえておきたい」「整えたい」という気持ちからまつげを抜く行為につながる場合もあります。これは完璧主義の傾向や、強迫的なこだわりと関連していることもあり、単純に意思の問題だけではありません。
このような背景を理解すると、自分を責めるよりも、「不安を和らげる他の方法を用意する」という視点で、行動を少しずつ変えていくことがしやすくなります。
寂しさや退屈さを埋める自慰的な行為
まつげを抜く癖は、強いストレスだけでなく、「なんとなく寂しい」「暇で退屈」という状態でも出やすくなります。ひとりの時間が長い、スマートフォンや動画視聴をなんとなく続けてしまうといった生活パターンの中で、手は常に自由で、頭はぼんやりしている状態が続くと、無意識にまつげへと手が伸びやすくなります。
このような場合、まつげを抜く行為は、時間を埋めるための小さな刺激であり、一種の慰めや自己安定の手段になっていると考えられます。
特に、夜の一人時間や、ベッドに入ってから眠りにつくまでの間は、寂しさや考え事が浮かびやすい時間帯です。その時間帯にまつげを触ることが多い方は、「退屈さや孤独感をまつげ抜きで紛らわせている」可能性があります。
この場合は、寝る前のルーティンを見直し、手を使う別の行動(読書やストレッチ、アロマオイルを塗るなど)に置き換える工夫が有効です。行動の意味に気付くことで、より自分に優しい代替行動を選びやすくなります。
身体的・生理的な要因:ホルモンや皮膚トラブルの影響

まつげを抜く癖は、心理的な側面だけでなく、身体的・生理的な要因と結びついていることもあります。まぶたや目元のかゆみ、乾燥、アレルギー反応などの不快感がきっかけとなり、つい指でこすったり、まつげを引っ張ったりするうちに、抜く行為が習慣化してしまう場合があります。
また、ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れが、皮脂分泌や皮膚状態に影響し、それがまつげ周辺の違和感につながることもあります。
身体的要因が潜んでいると、いくら意志の力で我慢しようとしても、かゆみやチクチク感が続くために、どうしても手が伸びてしまうことがあります。そのため、心のケアと同時に、皮膚や目の状態を整える医学的なアプローチも重要になります。
ここでは、まつげを抜く癖と関連しやすい身体的・生理的要因について、代表的なものを詳しく見ていきます。気になる症状がある方は、セルフケアだけでなく、眼科や皮膚科の受診も検討するとよいでしょう。
まぶたや目元のかゆみ・違和感
花粉症やハウスダスト、コンタクトレンズの刺激、アイメイクによるかぶれなどにより、まぶたやまつげの生え際にかゆみや違和感が生じることがあります。かゆみを我慢しようとしても、無意識のうちにまぶたをこすったり、まつげをつまんだりしてしまい、その延長でまつげを抜いてしまうケースは少なくありません。
特に、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質の方は、目元の皮膚バリアが弱く、軽い刺激でも炎症を起こしやすい傾向があります。
このような場合、抜く行為をやめるだけでなく、根本のかゆみや炎症を抑えることが重要です。アイメイクを控えたり、低刺激性のクレンジングに変えたり、コンタクトレンズの使用時間を見直すなど、刺激を減らす工夫が役立ちます。
かゆみが強い、赤みや腫れがある、目やにが増えているなどの症状が続く時は、自己判断で放置せず、眼科や皮膚科で診察を受け、適切な点眼薬や外用薬を使用することが推奨されます。
ホルモンバランスや自律神経の乱れ
ホルモンバランスや自律神経の乱れは、皮脂分泌や血行、皮膚のターンオーバーに影響し、まつげの生え方や目元の状態にも変化をもたらすことがあります。特に、思春期、妊娠・出産、更年期など、ホルモン変動が大きい時期には、肌質や毛質が変わり、まつげが抜けやすくなったり、チクチクとした違和感を覚えたりすることがあります。
この違和感が気になり、まつげを触る回数が増え、抜く癖として定着してしまうことがあります。
また、慢性的な睡眠不足や不規則な生活、過度なストレスは、自律神経のバランスを崩し、交感神経が優位な状態を長引かせます。これにより、筋肉の緊張や体のこわばり、末梢の血行不良が生じ、まぶた周りの不快感につながる場合もあります。
生活習慣を整え、睡眠の質を高めることは、メンタルケアだけでなく、まつげの健康にもプラスに働きます。特に、寝不足が続いた後に癖が強まる自覚がある方は、生活リズムの見直しも重要な対策になります。
皮膚疾患や眼疾患との関連
まつげを抜く行為そのものが、皮膚や目のトラブルを悪化させることもあれば、逆に、もともとの皮膚疾患や眼疾患がきっかけとなって抜く癖が始まることもあります。例えば、まつげの毛根に炎症が起きる麦粒腫や、まぶたの縁が慢性的に炎症を起こす眼瞼炎などは、痛みや違和感、かゆみを伴い、患部をいじってしまいやすい状態をつくります。
このときにまつげを抜くと、一時的に楽になったように感じても、炎症が広がったり、再発しやすくなったりするリスクがあります。
また、頭皮の皮膚疾患がある方は、眉毛やまつげにも乾燥やフケのような症状が出ることがあり、その不快感から毛をいじってしまうことがあります。皮膚疾患や眼疾患が疑われる場合は、専門医での診断と治療が優先されるべきです。
自己判断で市販薬に頼るのではなく、症状の程度や原因をきちんと把握し、まつげ周辺の環境を整えることが、抜く癖の軽減にもつながります。
生活習慣と環境要因:現代生活が生むまつげ抜きのトリガー
まつげを抜く癖は、心や体の問題だけでなく、日々の生活習慣や環境によっても強まりやすくなります。特に、スマートフォンやパソコンを長時間使用する現代のライフスタイルは、目の疲れや集中力の低下を引き起こし、それがまつげいじりのきっかけになることがあります。
また、在宅ワークや一人暮らしの増加により、人と接する時間が減り、自分の行動を客観的に見られにくい環境も、癖を固定化させる要因となります。
生活環境は、比較的自分の工夫で変えやすい部分です。そのため、まつげを抜く癖の改善を目指すうえで、最初に着手しやすい対策でもあります。ここでは、代表的な生活習慣や環境要因を取り上げ、それぞれがどのようにまつげ抜きのトリガーになるのか、そしてどのように見直していけばよいのかを解説します。
スマホ・PCの長時間使用と目の疲れ
スマホやPCの画面を長時間見続けると、瞬きの回数が減り、目の表面が乾燥しやすくなります。その結果、目の疲れや重さ、ゴロゴロした違和感が生じ、無意識に目の周りを触る機会が増えてしまいます。画面に集中している間は、自分の姿勢や手の動きに意識が向きにくく、気が付くとまつげを一本ずつ抜いていた、という状況になりやすいのです。
特に、自宅で一人で作業している場合には、周囲の目もないため、癖がエスカレートしやすい環境といえます。
対策としては、画面を一定時間見たら休憩をとる「20分ごとに20秒、20フィート先を見る」といった目の休息ルールを取り入れることや、作業中は片手を別のもの(ペンやストレスボールなど)で塞いでおくことが有効です。
また、画面の明るさや文字サイズを調整し、目に負担をかけない設定にすることで、乾燥や疲れを軽減できます。ブルーライトカット眼鏡や加湿器を活用するなど、環境面の工夫もまつげ抜きの予防につながります。
在宅ワークや一人時間の増加
在宅ワークやオンライン授業、一人暮らしなどにより、自宅で一人で過ごす時間が長くなっている人は少なくありません。一人でいる時間はリラックスできる反面、自分の行動に対して「他人の目」がなくなるため、まつげを抜く癖が出やすく、止めにくい状況になります。
仕事中や勉強中の緊張がピークを越えた瞬間、休憩時間や動画視聴中など、ふと気が緩んだ時に、無意識に目元を触ることが増えていきます。
このような環境では、時間の区切りを意識的に作ることが重要です。仕事モードとリラックスモードを切り替えるためのルール(服を着替える、作業場所を分けるなど)を設けることで、ダラダラとした時間を減らし、手持ちぶさたな状況そのものを少なくできます。
また、オンラインでの会議や通話を適度に取り入れることで、誰かに見られている感覚が生まれ、無意識の行動が抑えられることもあります。自分の生活パターンを振り返り、まつげを抜きやすい時間帯や状況を洗い出すことが、環境調整の第一歩です。
睡眠不足や乱れた生活リズム
睡眠不足や昼夜逆転などの生活リズムの乱れは、集中力の低下やイライラ、気分の落ち込みを招きます。その結果、ストレスや不安が増し、まつげを抜く行動に走りやすくなります。また、寝る前にスマホを長時間見る習慣が重なると、目の疲れと心身の疲労が同時に蓄積し、ベッドの中で無意識にまつげをいじってしまうケースもよく見られます。
睡眠が浅く、夜中に何度も目が覚める人も、そのたびに手が目元へ伸びることが少なくありません。
生活リズムを整えることは、まつげを抜く癖に対しても有効なベースづくりになります。毎日同じ時間に起きて朝日を浴びる、カフェインの摂り過ぎを控える、寝る前のスマホ使用を減らすなどの基本的な睡眠衛生を徹底することで、自律神経のバランスが整い、衝動的な行動も落ち着きやすくなります。
特に、睡眠不足の翌日にまつげ抜きが増える自覚がある方は、この因果関係を意識して、まずは睡眠の質と量を改善することを目標にするとよいでしょう。
自分でできる対策:まつげを抜く癖をやさしく減らす方法

まつげを抜く癖は、長く続いているほど「やめられないもの」と感じがちですが、行動のパターンや環境を少しずつ変えていくことで、負担をかけずに減らしていくことは可能です。大切なのは、自分を責めたり、完全にゼロにしようと一気に頑張りすぎたりせず、「頻度を減らす」「抜かない時間帯を増やす」といった現実的な目標を設定することです。
心理療法の分野でも、抜毛症に対しては行動療法的なアプローチが有効とされており、日常生活の中で応用しやすい工夫が多数あります。
ここでは、自分で今日から取り入れやすいセルフケアと行動の工夫を、具体的な方法として紹介します。どれか一つからでも構いませんので、自分に合いそうな方法を試しながら、少しずつ「まつげを守る行動」を習慣にしていきましょう。
手の動きを置き換える代替行動
まつげを抜きたくなる衝動は、完全にゼロにはできなくても、そのエネルギーを別の行動に向けることができます。これを代替行動と呼びます。例えば、まつげを抜きたくなった時には、代わりに柔らかいストレスボールを握る、ペンをくるくる回す、指をマッサージするなど、手を使う別の行動に置き換えるのです。
重要なのは、「抜くな」と我慢するだけでなく、「代わりにこれをする」という選択肢をあらかじめ決めておくことです。
また、作業中やテレビを見ている時など、手が暇になりがちな時間帯には、あらかじめ代替行動に使うグッズを手元に置いておくとスムーズです。ネイルケアやハンドクリームを塗るなど、手をいたわる行動を取り入れるのも有効です。
まつげが気になりそうな時には、片手を机の下で握りこぶしにしておく、両手を膝の上に重ねておくなど、ポジションを意識するだけでも、目元へ手が伸びにくくなります。小さな工夫でも繰り返すことで、新しい習慣として定着していきます。
トリガーとなる状況を記録して把握する
まつげを抜く癖を減らすうえで効果的なのが、「いつ、どこで、どんな気持ちの時に抜いているか」を記録し、トリガーを把握することです。簡単なメモ帳やスマホのメモアプリで構いませんので、「時間」「場所」「気分」「抜いた本数や程度」などをざっくり書き留めておくと、自分のパターンが見えてきます。
例えば、「夜、ベッドに入ってから」「在宅でのオンライン会議後」「残業終わりで疲れている時」といった共通点が見つかることが多いです。
トリガーが見えてくると、その状況を避ける、あるいは事前に対策を準備することができるようになります。例えば、「夜ベッドの中ではスマホではなく本を読む」「オンライン会議の後には必ずストレッチをする」「残業の日はホットアイマスクを用意しておく」など、状況ごとに具体的な行動を決めることが可能になります。
記録そのものが自己観察のトレーニングにもなり、無意識だった行動に意識の光を当てることができます。
目元ケアでまつげとまぶたのコンディションを整える
まつげやまぶたのコンディションを整えることは、違和感やかゆみを減らし、抜くきっかけそのものを減らすうえで重要です。目元専用のクレンジング剤を使用してアイメイクをやさしく落とす、摩擦の少ないコットンやタオルを使うなど、日々のスキンケアの質を見直すことから始めてみましょう。
また、保湿力のあるアイクリームやまつげ美容液などを用いて、まつげ周辺の乾燥やパサつきを防ぐことも役立ちます。
さらに、ホットアイマスクや温めたタオルを使って、目元をじんわり温めると、血行が促進され、目の疲れやこわばりが和らぎます。リラックス効果も高いため、まつげをいじりたくなる気持ちを和らげる助けにもなります。
ただし、強くこすったり、過度に油分の多い製品をまつげの生え際に塗りすぎたりすると、かえって炎症を招くことがあるため、使用方法や頻度には注意が必要です。自分に合うケア方法が分からない場合は、皮膚科や美容の専門家に相談するのも一つの方法です。
専門家に相談すべきケースと治療の選択肢
まつげを抜く癖が長期間続いている、抜いた部分が目立つほどになっている、自分一人ではコントロールが難しいと感じている場合には、専門家に相談することも選択肢に入れるべきです。抜毛症は、心の不調と結びついていることがあり、恥ずかしさから誰にも言えずに一人で抱え込んでいると、症状が慢性化しやすくなります。
しかし、医療機関では同様の悩みを抱える方が一定数おり、対応に慣れていることが多いため、必要以上に不安に感じる必要はありません。
ここでは、どのような状態になったら受診を検討すべきか、どの診療科が適切なのか、そしてどのような治療法やサポートが用意されているのかを紹介します。専門家の力を借りることは、「自分の弱さ」ではなく、「自分を大切にするための一歩」であると捉えていただければと思います。
受診を検討したいサイン
次のようなサインが複数当てはまる場合は、医療機関への相談を検討してよい段階といえます。
- まつげや眉毛、頭髪など、複数の部位を繰り返し抜いてしまう
- 抜いた部分が目立ち、人前に出るのがつらいと感じる
- 抜きたい衝動を抑えようとしても、ほとんどコントロールできない
- 抜いた後に強い自己嫌悪や落ち込みを感じる
- ストレスや不安、気分の落ち込みが続いている
これらのサインは、抜毛症や不安障害、うつ状態などが背景にある可能性を示していることがあります。
また、まつげの周辺に炎症が繰り返し起きている、目の痛みや視力の違和感がある、といった身体症状がある場合も、眼科や皮膚科での診察が必要です。無理に自力で解決しようとするよりも、早い段階で専門家の意見を聞くことで、心身への負担を軽減し、改善への道筋を見つけやすくなります。
相談先の選び方(皮膚科・眼科・心療内科など)
まつげを抜く癖で受診を考える場合、どの診療科に行けばよいか迷う人も多いでしょう。目元の炎症やまつげの状態が気になる場合は、まず眼科で目の健康チェックを受けると安心です。まつげの毛根やまぶたの皮膚に問題があるかどうかを確認し、必要に応じて治療を受けることができます。
皮膚のかゆみや湿疹、アレルギーが関係していそうな場合は、皮膚科も適切な相談先となります。
一方、ストレスや不安、衝動のコントロールの難しさが前面に出ている場合は、心療内科や精神科への相談が検討されます。抜毛症や関連する心理的な問題に対して、カウンセリングや薬物療法、行動療法など、さまざまなサポートが提供されることがあります。
どの診療科がよいか分からない場合は、かかりつけ医や総合診療科にまず相談し、適切な専門科を紹介してもらう方法もあります。
行動療法やカウンセリングの活用
抜毛症に対しては、行動療法に基づく支援が有効とされています。具体的には、まつげを抜く前のきっかけや感情、状況を整理し、それに対して別の行動や対処法を身につけていく方法です。先ほど紹介した代替行動や記録の活用も、行動療法の一部として専門家のサポートのもとで行うと、より効果的になります。
また、カウンセリングを通じて、ストレスや不安の背景にある問題を整理し、心の負担そのものを軽くしていくことも重要な要素です。
必要に応じて、抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法が併用される場合もありますが、これはあくまで個々の症状や状態に応じて検討されるものであり、必ずしも全員に必要なわけではありません。
治療や支援を受ける際には、自分のペースを大切にしつつ、疑問や不安があれば遠慮なく医師やカウンセラーに質問することが大切です。専門家との協力関係を築くことで、まつげを抜く癖だけでなく、生活全体の質の向上にもつながっていきます。
まつげを抜く癖と他の癖との違いと共通点
まつげを抜く癖は、爪噛みや貧乏ゆすり、唇をかむなど、いわゆる「癖」と呼ばれる行動と多くの共通点があります。一方で、まつげや眉毛、頭髪といった「見た目に大きく影響する部位」を対象としているため、美容面・心理面でのダメージが大きくなりやすいという特徴もあります。
自分の癖の位置づけや程度を理解することは、適切な対策を選ぶうえで重要です。
ここでは、まつげを抜く癖と他の代表的な癖との共通点と違いを整理し、「どの程度で問題と考えるべきか」「どこからが治療や支援の対象になりうるのか」をイメージしやすくするための比較を行います。
爪噛みなど他の反復行動との比較
まつげを抜く癖と同じく、爪噛みや皮膚をむしる行為も、ストレスや不安、退屈さを紛らわせるために行われることが多く、反復行動というカテゴリで共通しています。どちらも「気付いたらやっていた」「やめたいのにやめられない」という点で似ており、意志の弱さというよりも、心の状態と深く結びついた行動パターンといえます。
一方で、まつげを抜く癖は、目というデリケートな部位に直結しているため、健康リスクが比較的高いのが特徴です。
下の表は、まつげ抜きと爪噛みの共通点と違いの一例です。
| 項目 | まつげを抜く癖 | 爪を噛む癖 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 不安・退屈の解消、違和感の除去 | 不安・緊張の解消、口寂しさの解消 |
| 健康リスク | 目の炎症、視機能への影響リスク | 爪や歯の損傷、感染リスク |
| 目立ちやすさ | まつげの欠損が目立ちやすい | 手元を見られた時に目立つ |
| 対策の方向性 | 目元ケア+行動療法的アプローチ | 爪ケア+口や手の代替行動 |
このように、共通点を踏まえながらも、部位特有のリスクを意識した対策が必要になります。
日常生活への支障の有無で見る「癖」のライン
どこまでを「単なる癖」とみなし、どこからを「対処が必要な問題」と捉えるかは、人によって感覚が異なります。目安としては、次のような観点で考えると整理しやすくなります。
- 見た目の変化が気になり、人前に出ることや写真を撮ることを避けているか
- 勉強や仕事、家事に支障が出るほど抜く時間が長くなっていないか
- やめようとしても衝動を抑えられず、強いストレスを感じていないか
- 抜くことを隠すために、大きな負担を負っていないか
これらが強く当てはまる場合は、抜毛症などの可能性も含め、専門的な支援を検討するサインとなり得ます。
一方で、「ときどき数本抜いてしまうが、日常生活には大きな支障がない」という場合でも、まつげや目の健康を守る観点から、早めにセルフケアを始めておくことは有益です。程度の軽いうちに対策を取るほど、行動パターンの修正もしやすくなります。
自分の状態がどの位置にあるのか、先ほどの観点を参考にしながら、冷静に振り返ってみることが大切です。
まとめ
まつげを抜く癖の原因は、単純な「悪い習慣」や「意志の弱さ」だけではなく、ストレスや不安、退屈さ、かゆみや違和感、生活リズムの乱れなど、さまざまな要素が複雑に絡み合って生じるものです。心理的な要因と、身体的・生理的な要因、そして現代特有の生活環境が組み合わさることで、やめたくてもやめられない行動として固定化していきます。
まずは、自分の行動パターンやトリガーを知ることから始めることが、改善への第一歩となります。
セルフケアとしては、代替行動を準備する、トリガーを記録して把握する、目元のケアや生活習慣の見直しを行うといった方法が有効です。それでもなお、日常生活への支障が大きい、自分一人ではコントロールが難しいと感じる場合には、眼科や皮膚科、心療内科などの専門家に相談する選択肢もあります。
まつげと目の健康を守ることは、自分自身を大切に扱うことにもつながります。できるところから一歩ずつ、負担のない範囲で行動を見直し、まつげを抜かなくても落ち着ける、自分なりの過ごし方を育てていきましょう。